市政の動き−政策・見解お知らせ

【25.07.20】NO.2282 中央最低賃金審議会始まる 今すぐ1500円に、めざすは1700円

現在、全国平均時給1055円 世界ランクは16位、世界は2000円超

   最低賃金を引き上げる目安を決める中央最低賃金審議会(中賃審)が7月11日厚生労働省で始まりました。日本の最低賃金は全国一律ではなく、中賃審の示す各都道府県ごとの目安を参考に各県ごとの地方最賃審議会で決められます。昨年10月から施行された愛知県の最低賃金は1077円でした。今年は昨年以上の物価高騰と民間企業の賃上げが行われており、当然、大幅な引上げが求められます。

政府目標は2020年代に1500円達成と表明

 中賃審で鰐淵洋子厚労副大臣は、政府目標について実質賃金の年1%上昇、最賃の2020年代1500円達成と説明しました。中賃審の目安小委員会に提出された資料で、消費者物価指数の上昇率が、昨年3・2%に対して、今年1〜5月まで毎月4%を超えていることが判明。生活必需品を表す「基礎的支出項目では5月に5・2%にのぼりました。石破茂政権は、2020年代(2030年前)に全国平均1500円を目標にしますが、労働組合から「5年後では遅いし、1500円では低い」と批判が上がっています。現行額は都道府県の人口を加味した全国加重平均で1055円、最高額は東京1163円、最低額は秋田951円で212円もの地域間格差があります。この地域間格差も地方からの人口流出の原因ともなっており問題です。昨年、地方最賃審議会(地賃審)の過半数の27県で中賃審の目安に上積みしました。

日本の国際ランクは 韓国より低い16位

   最低賃金の国際比較(2023年)では1位はルクセンブルクで約16米ドル(2320円)でオーストラリア、ニュージーランドと2000円台で日本は韓国、米国に次ぐ16位です。米国は連邦最賃は7・25ドルですが、州毎に最低賃金が決められており、カリフォルニア州は16・50ドル(約2400円)で、連邦最賃の2倍以上で、世界最高水準です。

ドイツは27年から2400円台に改定

 ドイツの最低賃金委員会は26年1月から法定賃金を時給13・9ユーロ(約2350円)に、27年からは14・6ユーロ(約2467円)に引き上げる改定を承認しました。
 欧州連合(EU)は最賃をフルタイム労働者の賃金中央値の60%とするよう加盟国に求める「EU指令」を出していますが、ドイツの最賃はこれを一貫して下回っています。EU指令は労働者の賃金格差を少なくする目的で出されているため、平均賃金が高いドイツは、絶対額では高い最賃でもEU指令には届きません。

最賃の大幅アップは中小企業への支援が必須

最低賃金を引き上げると中小企業の経営を危うくするという声があります。一方、賃上げをしなければ人が集まらず人手不足倒産も招く危険もあり、「賃上げで経済の好循環」を実現するには中小企業への支援策が必要です。昨年最低賃金を上積みした自治体の中で岩手、徳島、奈良、群馬、茨木などでは独自の賃上げ支援制度をつくっています。中小企業への政府の賃上げ支援策は、生産性向上を目的にするため使い勝手が悪いと不評です。EU並みの最低賃金を実現するためには、年金制度の改善と併せて、中小企業の社会保険料事業主負担軽減など国の支援策を抜本的に拡充すべきです。

岩手県の物価高騰対策賃上げ支援金
   令和6年12月補正予算  

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
二次元バーコード
RSSフィード(更新情報)