【25.04.27-05.04】NO.2271 米価高騰、米不足いつまで続く 生産者も喜べない日本農業の構造的問題
大規模化でもコストは下がらない 主食用米の需要見通しは正しいか
物価高騰が続く中、米の価格は１年前の２倍になり、消費者から悲鳴が上がっています。政府は南海トラフ地震情報を受けた買い込みが主因と分析していましたが、備蓄米放出を続けても価格が下がらないのはなぜなのか。そこにはこれまでの推定方法と農業政策の構造的問題があるのではないでしょうか。様々な統計資料と大規模生産農家の意見を聞いて考えてみました。
24年産米の収穫量は 約６８０万トンで微増
農水省は昨年末24年産米の収穫量が前年比２・７％増の約６８０万トンと発表しました。増加に転じたとはいえ、わずか18万トンで25年の在庫水準は24年とほぼ同じ見通しです。米価上昇を見込んだ作付面積の増加（１・３％）が生産量を押し上げたとしています。しかしながら増加に転じたのは18年以来６年ぶりで減り続けた在庫も減少が止まったと言うにすぎず受給の逼迫はなお続きそうです。 農水省は昨年末24年産米の収穫量が前年比２・７％増の約６８０万トンと発表しました。増加に転じたとはいえ、わずか18万トンで25年の在庫水準は24年とほぼ同じ見通しです。米価上昇を見込んだ作付面積の増加（１・３％）が生産量を押し上げたとしています。しかしながら増加に転じたのは18年以来６年ぶりで減り続けた在庫も減少が止まったと言うにすぎず受給の逼迫はなお続きそうです。
備蓄米放出の効果は
政府は備蓄米放出を続けていますが、米価は上がり続けています。米の流通制度は食糧法の改正で民間流通米が中心となっており、米穀価格形成センターを含めた、生産者→出荷事業者→販売事業者間の取引で価格・販売量が決まります。放出された備蓄米は次年度に同量を政府に納入する義務があるため、出荷と販売の両方の機能を持つ全農が大半を落札しています。そこからさらに卸問屋→小売り店と流通経費と利益が加わり、通常流通品とほとんど変わらず、小売り価格はあまり下がりません。
作付け面積は なぜ増えないのか
米不足なら減反をやめたのだから増産すれば解決するのではないかと考え、市内の農業法人社長に聞いてみました。大規模農業で使う大型機械は１台１千万円近くかかるが、年間使用期間は限られており、１台での耕作面積も限られる。管理する水田は沢山あっても、大豆と麦も作ることで年間を通して、従業員の仕事を確保し、機械の稼働率も上げることで経営が成り立っている。一時的に需要があるからと、人と機械を増やすことはできないとのことでした。
米の需要予測は正しいのか
農水省のホームページで主食用米の需要見通しの算出方法を調べてみると下表の結果となっていました。１人・１年当り消費量に当該年の総人口を掛けて年間需要量を出しています。一方、24年の生産量は６７９万トンでした。さらに新型コロナウイルス禍からのインバウンド（訪日外国人客３千万人）の影響は加味されていません。訪日外国人客需要は23〜24年には前年に比べて14万トンも増えていますが、さらに増加すれば需要は更に増えます。
大規模化でなく 小中規模農業の再建を
日本全体の水稲作付面積は２０１０年の１３７万�任�ら20年には１２９万�任泙埜困辰討い泙后�水稲の経営規模別作付け面積は２�婆に�30％、２〜15�婆に�43％、15�念幣紊梁腟�模農家は27％にすぎません。米を増産しようとしても大規模農家だけでは増産はできません。安定した価格での米の需給を維持するには、小規模農家や中規模農家でも生産を続けられる「所得保障制度」が必要です。米を作っても「時給10円」と言われるようでは米作の就業人口は減るばかり。米に限らず、食料自給率を引き上げるためにも、輸入ではなく、抜本的な農業政策の転換が求められます。
